中国自動車メーカー、海外で相次ぐSEP訴訟に直面

IP Frayの報道によると、2月にSol IPがドイツ・ミュンヘン地方裁判所でBYD4G標準必須特許(SEP)侵害で提訴したのに続き、日本の特許ライセンス企業IP Bridgeが近日、同様の理由で同じ裁判所にBYDを対象とする新たな2件の訴訟を提起した(事件番号:70 2255/202570 2257/2025)。これはBYD1ヶ月のうちに巻き込まれた2件目の海外SEP紛争であり、中国自動車メーカーが欧米市場で直面する特許包囲網のまた一例となった。

今回の訴訟で争点となっている特許EP2294737(「独立したチャネル品質指示符送信をトリガーする制御チャネルシグナリング」)は、元々パナソニックが保有していたものである。この特許はミュンヘン裁判所における過去の訴訟で「輝かしい戦績」を残しており、ダイムラーやフォードを和解に追い込み、複数の無効審請求を退けられた上、裁判所によって4G標準必須特許と認定されている。つまり、この特許は欧州の司法システムにおいて強力な判例的裏付けを得ており、BYDが直面する法的リスクは軽視できない。

Sol IPの訴訟戦略と同様に、IP Bridgeは現時点では損害賠償のみを主張し、差止命令は申請していない。これは、ダイムラーやフォードの案件での対応とは異なり、「段階的圧力」戦略、すなわちまず経済的・法的手段でBYDに交渉を促し、和解が成立しなければ将来的に差止命令を申請する可能性も排除できないと見られる。

BYDが今回特許訴訟に直面したのは孤立した事例ではなく、近年、中国自動車ブランドの海外展開が加速する中、海外での特許紛争は増加傾向にある。BYDが相次いで提訴された背景には、中国の新エネルギー車(NEV)輸出が急拡大している現状がある——2024年に中国のNEV生産・販売台数は1300万台を突破し、世界市場の70%を占めた。産業の急速な台頭とともに、海外進出における知的財産リスクも蓄積しつつある。

出典:自動車知的財産権

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