特許請求の範囲における数字「一」の解釈
2025-04-27
—— (2020) 最高法知民 終第1070号
深セン廚之道環保高科有限公司(以下「廚之道公司」という)は、「動的物理シールド浄化器」の発明の特許権者である。廚之道公司は、深セン中天美科技有限公司(以下「中天美公司」という)の製造した特許権侵害の疑いのある製品が、かかる特許のクレーム1の保護範囲にあると判断し、中天美公司を裁判所に訴え、侵害を停止するとともに損失を補償しようと要求した。
かかる特許のクレーム1は動的物理シールド浄化器に関し、次のような技術特徴がある:A.中央ディスクと複数の円形スポークを含む;B.前記スポークの一端が放射状に中央に固定されている;C.同一平面内に配置されたスポークの直径とスポークの数との積の値が46以上460以下である;D.計算する場合、スポークの直径単位はミリメートルで、スポークの直径は0.3mm以上である。二審では、両方の当事者は、侵害の疑いのある技術方案(以下「被訴技術方案」)が技術特徴A、B、Dを有することに異議なく、技術特徴Cのみについて争議がある。侵害の疑いのある製品のスポークは2つの平行な平面を形成しており、中天美公司は、この特徴は、請求項1に記載の「同一平面内」とは明らかに異なると主張した。
第一審では、被訴技術方案がかかるクレーム1とは係争技術特徴において同等であると認定し、侵害が成立したと判断し、中天美公司が廚之道公司に50万元の補償金を支払うよう判決した。中天美公司は原判決を受け入れられなく、最高人民法院に上訴した。第二審では、元の判決ではクレーム1における数字「1」への理解に誤りがあり、被訴技術方案がかかるクレームい1とは係争技術特徴において同等ではなく同じであると認定し侵害が成立して、上訴を棄却し元の判決を維持した。
最高人民法院は、特許請求の範囲、明細書および図面を読んだ当業者による技術特徴Cへの理解に基づき、当該技術特徴に限定されたものは、同一平面内にあるスポークの直径とスポークの数の積の値であり、コアとなるのはスポークの太さと配列密度という2つの物理的パラメータ間の調整であり、その技術効果は、スポークに構成される平面の数ではなく、動的物理シールド浄化器の浄化率を最大化することである。換言すれば、技術特徴Cにおける「同一平面内」とは、「同じ平面内」と理解すべきであり、スポークに構成される平面の数とは無関係である。
本案件の審理を通じて、最高人民法院は判決の規則を明らかにした。すなわち、クレームに数字「1」が含まれている場合、それは量的制限と見なされるべきではなく、特許請求の範囲、明細書および図面を読んだ当業者による理解に基づき確定すべきである。本案件は、特許請求の範囲における特定の数字の解釈に関して、一定の参照の意義がある。
CNIPAによる
2021年5月11日