「医薬品特許紛争の早期解決メカニズムの実施のための措置(試行)」の政策解読
2025-04-27
一.「医薬品特許紛争の早期解決メカニズムの実施のための措置(試行)」の起草背景は何か?
医薬品特許紛争の早期解決メカニズムとは、関連医薬品の販売承認手続きと関連医薬品特許紛争の解決手続きとをリンクさせるためのシステムを指す。2020年10月、新たに改正された「特許法」の第76条は、医薬品特許紛争の早期解決のための関連規定を導入した。
国家食品薬品監督管理局および国家知識産権局は、関連部門とともに、新たに改正された「特許法」の関連規定の枠組みの下で、「薬物特許紛争の早期解決メカニズムの実施のための措置(試行)」(以下、「措置」という)を策定した。
二.「措置」の目的と主な内容は何か?
「措置」は、関連医薬品の販売および承認環節における特許紛争を解決するメカニズムを当事者に提供し、医薬品特許権者の正当な権利と利益を保護し、ジェネリック医薬品の上場後の特許侵害リスクを軽減することを目的とする。「措置」の主な内容は、プラットフォーム構築・情報開示制度、特許権登録制度、ジェネリック医薬品特許宣言制度、司法連携・行政連携制度、承認待機期間制度、医薬品審査・承認分類制度、ジェネリック医薬品市場独占期間制度等を含む。
三.医薬品特許紛争を早期に解決するチャンネルは何か?
「措置」によると、特許権者または利害関係者が4種類の特許宣言に異議がある場合、薬物に関連する技術的解決策が関連する特許権の保護の範囲に含まれるかどうかにつき、人民法院に訴訟を起こすか、または国家特許管理部門に行政裁決を行うかという、司法チャネルおよび行政チャネルがある。所定の期限内に、特許権者はみずからチャンネルを選択することができる。当事者が国務院の特許行政部門に行政裁決を請求することを選択し、行政裁決に不服して、その後人民法院に行政訴訟を提起した場合には、待機期間は延長されない。
特許権者または利害関係者が所定の期限内に訴訟や行政裁定を請求しない場合、ジェネリック医薬品申請者は、関連する医薬品の技術的解決策が関連する特許保護の範囲に含まれないことを確認するために関連規定に従って訴訟または行政裁定を請求することができる。
四.医薬品特許紛争の早期解決メカニズムの対象となる医薬品特許は何か?
中国上場医薬品特許情報登録プラットフォームに登録できる具体的な医薬品特許には、化学薬品(バルク医薬品を除く)の医薬品有効成分の特許、有効成分を含む医薬組成物の特許、医療用途の特許;漢方薬組成物の特許、漢方薬の抽出物の特許、医薬品用途の特許;生物製品の有効成分の配列構造の特許、医薬品用途の特許が含まれる。関連特許には、中間体、代謝物、結晶形、調製方法、検出方法などに関する特許は含まれていない。
5.特許を声明するにはどうすればよいか?
化学ジェネリック医薬品の申請者、同じ名前と同じ処方の漢方薬の申請者、およびバイオシミラーの申請者は、医薬品販売承認の申請を提出する際に、中国の上場医薬品の特許情報登録プラットフォームに公開された特許情報に照らし、模倣されたジェネリック医薬品に関連する医薬品特許毎に声明する必要がある。ジェネリック医薬品の申請が受理されてから10作業日以内に、ジェネリック医薬品の申請者は、対応声明および声明の根拠を販売許可所有人に通知すべきである。その中で、関連する特許権の保護範囲に含まれないと声明した場合、声明の根拠には、ジェネリック医薬品の技術的解決策と関連特許の関連クレームとの比較表よび関連技術資料が含まれるべきである。ジェネリック医薬品の申請者は、紙の資料に加え、声明と声明の根拠を、上場ライセンス所有者の上場医薬品特許情報登録プラットフォームに登録された電子メールアドレスに送信し、その送信記録を保持する必要がある。
六.待機期間の開始方法は?
特許権者または利害関係者が化学ジェネリック医薬品の登録申請される4種類の特許声明に異議ある場合、国家医薬品審査評価機関による医薬品販売承認申請の発行日から45日以内に、販売承認の申請に関連する医薬品の技術的解決策が関連特許権の保護の範囲に含まれるかどうかにつき、人民法院に訴訟を起こすか、国務院特許行政部門に行政裁決を請求することができる。特許権者または利害関係者が所定の期限内に訴訟または行政裁決を請求する場合に、人民法院または国務院特許行政部門が受理日より15作業日以内に、立案または受理通知書謄本を国家医薬品審査評価機関に提出するとともに、ジェネリック医薬品申請者に通知すべきである。人民法院または国家特許行政部門から受理通知書謄本を受け取った後、国務院薬物監督管理部門は、化学ジェネリック医薬品の登録申請に9か月の待機期間を設置する。
化学ジェネリック医薬品の申請者が中国の上場医薬品特許情報登録プラットフォームに含まれるジェネリック医薬品に関連する特許権が無効宣告されるべきだと声明したが、特許権者または利害関係者は上場医薬品の関連技術的解決策が関連特許権の保護範囲に含まれるかどうかにつき訴訟または行政決定を請求しない場合、待機期間は開始されない。
七、特許紛争が早期解決されない場合、関連医薬品は上場後の処理はどうなるか?
中国の上場医薬品特許情報登録プラットフォームに関連特許情報が登録されていないのは上記措置に適用されない。特許権者または利害関係者が所定の期限内に訴訟または行政裁決を請求しない場合、待機期間を設置しない。特許紛争を早期解決できない件につき、関連医薬品の販売承認後、特許権者が当該医薬品が対応特許権を侵害したと認定し紛争がある場合は、「中華人民共和国特許法」およびその他の法律および法規により解決する。法律に従って承認された医薬品販売決定は取り消されないものとし、その有効性に影響を与えることはない。
CNIPAによる
2021年7月5日