最高人民法院は、展示販売による特許侵害(infringement of offering for sale)も補償責任を負うべきであると明確にする
2025-04-27
今年3月、最高人民法院知的財産裁判所は、2件の実用新案特許権侵害紛争について第二審判決を下し、被訴侵害者が展示販売行為のみしても、侵害を停止し、損失を補償するという民事責任を負うべきであると明確にした。
当該二件の案件では、第一審の裁判所は、被訴侵害者がWebサイトに被訴侵害製品を展示する行為が展示販売行為を構成し、関連特許権を侵害していると判断して、被訴侵害者が侵害を停止し、損失を補償するという民事責任を負うべきであり、法定補償に基づいて補償額を決めるべきであると判決した。被訴侵害者は、展示販売による特許権への侵害に異議ないが、その民事責任は損失を補償するではなく、特許権者の権利を保護するための合理的な費用を補償すべきであると主張し、上訴した。
この点に関して、最高法の知的財産裁判所は、展示販売行為は客観的に特許権者に害を及ぼすと判断した。展示販売行為は、製品の製造が完了した後、または製品の製造が完了する前、製品が販売される前、または販売プロセス中に発生する可能性がある。展示販売行為の目的は販売に向けられているが、展示販売行為は法定の独立した侵害行為であり、展示販売侵害行為に対する民事責任は、販売が実際に行われたかどうかを前提としない。展示販売行為が発生すると、被訴侵害者の展示販売の価格は通常、特許製品の価格より低いため、潜在的な消費者に心理的なヒントを与え、特許製品の合理的な価格に影響を与え、特許製品の通常の販売を遅らせたり、減らしたりする可能性がある。さらに、被訴侵害者の展示販売行為はまた、特許製品の広告効果に悪影響を与える可能性がある。よって、展示販売行為の存在は、特許製品の価格低下、ビジネス機会の縮小または遅延等の損害を特許権者にもたらす可能性があり、この損害は合理的に推測できる結果である。権利へ損害があれば、救済措置が必ずある。法律で別段の規定がない限り、救済措置には、不法行為に対する民事責任の少なくとも2つの基本的な形態、つまり、侵害停止と損失補償が含まれる必要がある。判決では、被訴侵害者の展示販売に対する具体的な賠償額を決定する際に、最高裁判所の知的財産裁判所は、展示販売につき、元の裁判所が裁量に法定賠償を適用し、賠償額が基本的に適切であり、維持されるべきだとした。
最高裁判所の知的財産法廷による
2021年7月21日